〈この連載の現在地〉
① 心が動いた場面の書き出し → ② 経験の分解 → 【特別編】器と中身の話→ ③ 他己分析(👈いまココ)
前回のおさらいと、今回やること
この「自分にしかないガクチカの書き方」では、
ここまで
①で「心が動いた場面」を書き出し、
②で「その経験を分解して、なぜ動いたのか」を掘り下げ、
そして前回、ガクチカは「何をしたか(器)」ではなく「その中に、どんな自分がいたか(中身)」だ、という話をしました。
前回、最後はこんなところにたどり着きました。
中身は、自分では見えにくい。
なぜなら、自分にとって当たり前になったことは、努力や工夫として数えられなくなるからです。
だから、いくら一人で見つめ直しても、どこかで「いや、これくらいみんなやってるでしょ」に戻ってしまう。
そこで前回の最後に出てきたのが、「他の人の目を借りる」 という手段でした。
今回は、自分では当たり前すぎてスルーしていた中身を、まわりの人の目を通して形にしていきます。
なぜ、自分の目だけでは足りないのか
短く整理しておきます。
「普通のことしかしてない」と感じるのも、「立派な経験はあるのに、いざ書こうとすると何も出てこない」と感じるのも、原因は同じでした。
自分の中身が、自分には"当たり前"に見えてしまうからです。
これは、あなたが鈍いからではありません。
当たり前になったものを、自分の内側から数えるのは、しくみとして難しいのです。
ここを越える、いちばんシンプルな方法が、他己分析です。
他人は、あなたのメガネをかけていません。
だから、あなたが「こんなの当然」とスルーしているものを、ふつうに「それ、けっこうすごいと思う」と言ってくれます。
だから、他己分析は「強みを発掘する」作業ではありません。
すでにあなたの中にある中身に、他人の言葉で輪郭をつける作業です。
誰に、何を聞くか
聞く相手の選び方
2〜3人に絞りましょう。以下の中から選ぶといいでしょう。
- 一緒にサークルや部活をやってきた友人
- アルバイトを一緒にした仲間
- 大学のグループワークで組んだことがある人
- ずっと仲のいい友人(高校の友人でもいい)
まずは「外で何かを一緒に動いた人」を選ぶのがおすすめです。
家でのあなたと、外で動いているときのあなたは、見えている顔が少し違います。
ガクチカで書きたいのは後者のあなたなので、その姿を間近で見てきた人ほど、欲しい言葉が返ってきやすいはずです。
聞く内容
以下の3つを聞いてみましょう。LINEでもかまいません。
- 「私ってどんな時に一番いきいきしてると思う?」
- 「私がいると、その場の空気ってどう変わると思う?」
- 「私の行動で、印象に残っていることってある?」
「強みは何?」とは聞かないこと。
「強み」と聞くと、相手も答えにくいですし、「コミュ力がある」みたいな一般的な言葉が返ってきやすくなります。
場面や行動ベースで聞くと、具体的な言葉が返ってきます。
「Aさんが○○したとき、みんなが安心してたよ」
「話してると、なんかほっとするんだよね」
この具体さが大事です。派手な言葉はいりません。
むしろ、地味で具体的な行動こそ、あなたが"当たり前化"してスルーしてきた中身の正体だったりします。
📝 ワーク:返ってきた言葉を整理しよう
返答が集まったら、以下のステップで整理してみましょう。
ステップ1:相手の言葉をそのまま書き出す
| 聞いた相手 | いきいきしているとき | 場の空気 | 印象に残った行動 |
|---|---|---|---|
| Aさん | |||
| Bさん |
相手の言葉は、なるべくそのままのニュアンスで残してください。綺麗に整えなくて大丈夫です。
ステップ2:自分が見ていた「中身」と並べる
②で行った「経験の分解」や、前回のワークで丸をつけた「当たり前にやっていた行動」と、並べてみましょう。
| 自分で見つけていた中身(②・前回) | 他の人が見ていたあなた(今回) |
|---|---|
自分の目と、他人の目。この2つを横に並べることが、今回のいちばんの肝です。
ステップ3:この3つに分類する
- 一致したもの → 確かな自分の特徴です。自信を持って使っていいでしょう。
- 意外だったもの → ここが今日の本命です。「そんなふうに見えてたの?」という反応が出たものに注目してください。
- 思い当たらないもの → 一旦横に置いてOKです。
意外だったものに注目してみてください。
そこが、あなたには当たり前すぎて、自分では見えなかった「中身」です。
前回、自分一人では届かなかった場所に、他人の目が光を当ててくれたということです。
ワークをやるときの注意点
このワークの目的は、「使えるネタを探すこと」でも「強みを発掘すること」でもありません。
「自分が無意識にやってきたことを、言葉にすること」です。
だから、かっこいい答えが返ってこなくても大丈夫です。
「なんか心配性なんだよね、あなたって」
「いつも損な役回りを引き受けてるよね」
このように返ってきたとき、「それ、強みじゃないな」と捨てないでください。
「心配性だから、細部まで確認する」
「損な役回りでも動けるから、チームが止まらない」
そんなふうに捉えてみてください。
このワークは何につながるのか?
ガクチカへの接続
「意外だったもの」は、自分では価値として認識していなかったものです。
他者の目を経由することで、「ただの経験(器)」が「あなたにしか語れない話(中身)」に変わることがあります。
「普通のアルバイト」が、「チームで何かが起きたとき、最初に動くポジションを自然に選んでいた」という話になります。
「これといった実績はない」が、「場が停滞したとき、誰よりも先に動いている自分がいた」になります。
器が地味でも、立派でも、関係ありません。語るべきは、いつだってその中にいたあなたです。
自己PRへの接続
「あなたがいきいきしているとき」が分かると、自分が力を発揮できる条件が見えてきます。
それは、どんな仕事をしているときに充実感を感じるか、という問いにつながります。
企業選びへの接続
「自分が大切にしていること」が具体的になるほど、「この会社に入ったら、自分らしく働けるか」が判断しやすくなります。
カルチャーフィットというのは、結局このことです。
まとめ:外の目は、あなたの中身を映す鏡🪞
①では感情を手がかりにしました。
②では行動の奥を掘りました。
前回は、ガクチカの正体が「器」ではなく「中身」だと確かめました。
そして③では、他人の目を借りて、自分では当たり前すぎて見えなかった中身に、光を当てました。
自己分析は、自分の中だけで完結しません。
外の視点と往復することで、ようやくあなたの輪郭が見えてきます。
📝 リフレクション
返ってきた言葉の中で、一番意外だったのはどれでしたか?
それは、なぜ意外に感じましたか?
その「なぜ意外か」という感覚の中に、あなたが無意識にやってきた、あなたにしかない中身が隠れているかもしれません。
🏃♂️➡️次の一歩
次回は、①〜③でやってきたことを統合していきます。
感情・経験の分解・他者の目
この3つの素材を使って、あなたの価値観を「一本のガクチカ」として言葉にする作業に入ります。
ガクチカを、一緒に言語化してみませんか?
文章を読んでもピンとこないとき、誰かと話しながら整理したいとき。
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