AIでESを書くのは、もう「当たり前」になっている
就活のES(エントリーシート)を書くとき、AIを使う大学生は増えている。
というより、使わない方が少数派になりつつある。
「僕の場合、AIをひたすら使いまくって書きましたね」
こう語るのは、実際にAIを活用して就活を終えた大学生。特別なことではなく、周りも当たり前のように使っていたという。
「今はAIで書いた出してきたものを編集して。もうほぼほぼ編集作業をやってくれるみたいな感じです」
ただ、ここで気になるのは——それで本当に通るのか? そして、どこまでAIに任せていいのか?
この記事では、実際にAIを使った経験者の声をもとに、その「線引き」を考えてみたい。
AIが得意なこと、苦手なこと
まず、AIにできることとできないことを整理しておく。
AIが得意なこと
- 言語化 — 頭の中にあるぼんやりした経験を、文章にまとめてくれる
- 構成 — ESのフォーマットに沿った形に整えてくれる
- 壁打ち — 「こういうところはどう感じた?」と問いかけてくれる
「自分の過去にどういうことをやってきたのかとか、そのエピソードっていうのを投げて、言語化の作業をお願いして」
つまり、AIは**「整理する道具」**として非常に優秀だ。
AIが苦手なこと
- あなたの体験を知ること — AIはあなたの人生を知らない
- あなたの感情を代弁すること — 「その時どう感じたか」は本人にしかわからない
- あなたの価値観で判断すること — 何を大事にしているかは、あなた自身が決めること
「一般論しか出てこないので、自分の体験から自分で解釈するっていうのがないと、使える知識にならない」
AIが出してくるのは、誰にでも当てはまる言葉。それをそのまま出しても、読む側(企業の採用担当者)には響かない。
経験者の使い方:3つのステップ
実際にAIを活用して就活を乗り切った先輩の使い方を、ステップに分解してみる。
Step 1. まず、自分の体験を書き出す
いきなりAIに「ガクチカを書いて」と頼まない。
最初にやるのは、自分の経験をとにかく出すこと。紙でもメモアプリでもいい。
- どんなバイトをしていたか
- どんなことが楽しかったか、きつかったか
- 何かを続けた経験、やめた経験
- 人との関わりで印象に残っていること
この段階では、うまく書く必要はない。箇条書きでも、単語の羅列でもいい。
Step 2. AIに「言語化」を手伝ってもらう
書き出した体験をAIに渡して、整理してもらう。
「言語化したものを僕自身でその最終的にチェックをして提出するみたいな形でやってました」
ポイントは、**AIに「書いてもらう」のではなく、「整理してもらう」**という使い方。
AIに質問してもらうのも有効だ。
「AIに"こういったところはどう感じたんですか?"って聞かれたものに対して考えていく」
AIの質問に答えていくうちに、自分でも気づいていなかった視点が見えてくることがある。
Step 3. 最後は、自分の目で判断する
AIが整理してくれた文章を、そのまま提出しない。
ここが一番大事なステップだ。
- この言葉は、本当に自分の気持ちを表しているか?
- きれいにまとまりすぎて、自分らしさが消えていないか?
- 面接で「これについて詳しく教えて」と聞かれたとき、自分の言葉で話せるか?
最後の問いが特に重要だ。ESはゴールではなく、面接への入口。AIが書いた文章を自分の言葉として話せないなら、それは使うべきではない。
「企業に合わせて自分を作る」は逆効果
AIを使うと、つい企業が求めている人物像に合わせた文章を作りたくなる。企業の理念を調べて、それに沿うようなエピソードを強調して——。
でも、ある経験者はこう言い切っている。
「企業が求めているものを調べて、それに合わせて自分を作っても、正直あんまり良くない」
「自分の武器はこれですっていうものを先に自分の中で再認識する方が、優先度が高い。正直それを出して、合うかどうかは企業側の判断」
つまり、自分を企業に合わせるのではなく、自分を正確に伝える。その結果マッチしなければ、それはお互いにとって良いこと。
AIは企業に合わせた文章を作るのが得意だが、それが最も危険な使い方でもある。
ESで本当に大事なのは「すごさ」じゃない
AIを使おうが使うまいが、ESの本質は変わらない。
「飲食店のアルバイトだからダメとかそういうのは全くなくて。その体験を通して自分がどういうことを学んだかっていうのをちゃんと伝えられれば、そっちの方が大事」
華やかなエピソードは必要ない。AIで文章をきれいにする必要もない。
大事なのは、自分が経験したことから、自分なりに何を感じたか。それが伝わるかどうか。
AIはその「伝え方」を手伝ってくれる道具にすぎない。
まとめ:AIに任せること、自分でやること
| AIに任せていいこと | 自分でやるべきこと |
|---|---|
| 体験の言語化・構成 | 体験そのものを書き出す |
| 文章の整理・推敲 | 「これは本当に自分の気持ちか?」の判断 |
| 質問による深掘り | 最終的にどの言葉を使うかの選択 |
| 誤字脱字のチェック | 面接で自分の言葉として話せるかの確認 |
一言で言えば:言語化はAI、判断は自分。
その線引きさえ持っていれば、AIは就活の強い味方になる。
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