〜焦って応募を増やす前に、「どこで止まっているか」を見つけよう〜
夏になっても、まだ内定がない。
選考中の企業はほとんどなく、次の面接予定も入っていない。周りからは、「就活が終わった」「内定者懇親会がある」といった話を聞くようになった。
求人を探しても、目に入るのは「募集終了」の文字ばかり。
「今からでも間に合うのだろうか」
「一次面接すら通らない自分は、もう厳しいのではないか」
「何をすればいいのか分からないまま、時間だけが過ぎていく」
そんな焦りを抱えている27卒の人もいると思います。
「まだ大丈夫」「諦めなければ間に合う」
そう言われても、知りたいのは、安心するための言葉だけではないはずです。
今の自分は何を見直す必要があり、明日から何をすればいいのか。
この記事では、「内定がない」という結果だけで自分を判断するのではなく、今の就活がどこで止まっているのかを整理し、夏から立て直すための方法を考えます。
「内定がない」だけでは、次にやることは分からない
内定がないと、「自分の就活は全部うまくいっていない」と感じてしまいます。
しかし、「内定がない」という言葉だけでは、どこに問題があるのかは分かりません。
たとえば、同じ「内定なし」でも、次のような違いがあります。
- 応募したい企業が見つからず、面接予定がない
- エントリーはしているが、ESや書類が通らない
- 書類は通るが、一次面接で落ちている
- 最終面接までは進むが、内定に届かない
結果は同じでも、必要な立て直し方は異なります。
応募先が見つかっていない人が、面接練習だけを続けても、選考は増えません。
一次面接で落ちている人が、同じ受け答えのまま応募数だけを増やしても、似た結果が続く可能性があります。
「もっと頑張らなければ」と考える前に、まず確認したいことがあります。
今の自分の就活は、どの段階で止まっているのか。
立て直すとは、気合いを入れ直すことではありません。
止まっている場所を見つけ、次の一手を変えることです。
まず、これまでの就活を一度だけ書き出してみる
記憶の中だけで就活を振り返ると、落ちた選考ばかりを思い出し、「全部ダメだった」という感覚になりやすくなります。
一度、これまでの状況を簡単に書き出してみてください。
| 確認すること | 自分の状況 |
|---|---|
| これまで応募した企業数 | |
| ES・書類を提出した企業数 | |
| 書類を通過した企業数 | |
| 一次面接を受けた企業数 | |
| 二次・最終面接へ進んだ企業数 | |
| 現在選考中の企業数 | |
| 次に入っている面接予定 |
正確な数字を出す必要はありません。
ここで確認したいのは、「自分がダメだった回数」ではなく、どの段階までは進めていて、どこから先へ進めていないのかです。
応募したい企業が見つからず、面接予定がない場合
求人サイトは見ているけれど、応募したいと思える企業が見つからない。
「今から応募できる企業は、あまり良くないのではないか」
「もっと自分に合う会社がある気がする」
「この会社に入って後悔しないだろうか」
そう考えているうちに、応募しないまま一日が終わる。
この場合、止まっているのはESや面接ではなく、応募先を選ぶ段階です。
応募は、入社を決めることではない
応募する企業を選ぶとき、「本当に入社したい企業か」を最初から決めようとしていないでしょうか。
しかし、求人票や企業サイトだけで、仕事内容や社風、自分との相性まで判断するのは難しいものです。
応募や面接は、企業から自分を選んでもらう場であると同時に、自分が企業を知るための機会でもあります。
今の時点で、第一志望だと思えなくてもかまいません。
- 仕事内容に少し興味がある
- 自分の経験を生かせそう
- 働く条件が希望に近い
- 一度、社員の話を聞いてみたい
そのくらいの理由から、選考へ進んでもよいのです。
条件を三つに分ける
企業に求める条件を、次のように分けてみてください。
絶対に外せない条件
- 勤務地
- 雇用形態
- 給与や休日
- 転勤の有無
- 希望する仕事内容
できれば満たしたい条件
- 業界
- 企業規模
- 知名度
- 福利厚生
- 働き方
実際に話を聞かないと分からないこと
- 社風
- 上司や社員との相性
- 自分に向いているか
- 長く働けそうか
すべての条件を応募前に満たそうとすると、応募できる企業はほとんどなくなります。
まずは、絶対に外せない条件を満たす企業の中から、少しでも気になる企業を探してみてください。
ESや書類が通らない場合
企業には応募しているけれど、面接まで進めない。
不合格の通知が続くと、
「自分には書けるような経験がない」
「ガクチカが弱いから、何社出しても同じだ」
「もっとすごい実績がないと通らないのではないか」
と考えてしまうことがあります。
しかし、ESで見直すべきなのは、経験の大きさだけではありません。
「何をした人なのか」が伝わっているか
ガクチカや自己PRを書くとき、活動内容や結果を詳しく説明することに意識が向きすぎると、自分自身の行動が見えにくくなることがあります。
たとえば、
サークルで新入生の勧誘に取り組み、前年より多くの新入生を集めました。
これだけでは、あなたが何を考え、何をした人なのかまでは分かりません。
- どのような問題があったのか
- その問題を、なぜ変えたいと思ったのか
- 自分は何を提案したのか
- 周りにどのように働きかけたのか
- 途中で何がうまくいかなかったのか
- そこから何を変えたのか
企業が知りたいのは、結果だけではありません。
その結果に至るまでに、あなたがどのように考え、動いたのかです。
一度に何枚も直そうとしない
書類が通らないと、すべてのESを書き直したくなりますが、まずは一枚だけでかまいません。
これまで提出したESを一つ選び、次の三つを確認します。
- 質問に対する答えが、最初に書かれているか
- チームではなく、自分の行動が見えるか
- 結果だけでなく、考えたことや失敗も書かれているか
自分だけで判断するのが難しければ、大学のキャリアセンターや先輩などに見てもらいます。
そのときは、ただ「添削してください」と頼むのではなく、
私がどのように考えて行動した人なのか、文章から伝わるかを見てほしいです。
と伝えると、表現の修正だけではなく、内容についても意見をもらいやすくなります。
一次面接で落ち続けている場合
書類は通るけれど、一次面接を受けると落ちてしまう。
面接後には、
「大きな失敗はしなかった」
「聞かれたことには答えられた」
「面接官も笑っていた」
と思ったのに、不合格の通知が届く。
一次面接で落ちる状態が続くと、自分の話し方や性格そのものに問題があるように感じるかもしれません。
しかし、面接で見直せるのは、人格ではありません。
質問と回答のずれや、伝え方の癖です。
自分の回答を一度録音してみる
スマートフォンを使って、次の三つを話してみてください。
- 1分程度の自己紹介
- 学生時代に力を入れたこと
- その企業を志望する理由
録音を聞きながら、確認します。
- 質問への答えから話しているか
- 一つの回答が長くなりすぎていないか
- 抽象的な言葉ばかりになっていないか
- 自分が何をしたかが伝わるか
- 暗記した文章を読んでいるようになっていないか
- 志望動機が、企業の説明だけで終わっていないか
自分では話せているつもりでも、録音を聞くと、結論が出てくるまでに時間がかかっていたり、同じ内容を繰り返していたりすることがあります。
「正しく答える」ことに集中しすぎていないか
面接では、
- 間違えないように話す
- 沈黙をつくらない
- 用意した内容を忘れない
- 悪い印象を与えない
ということに意識が向きがちです。
けれど、失敗しないことだけを考えると、あなたがどのような人なのかが伝わりにくくなります。
面接官が知りたいのは、完璧な回答ではありません。
- なぜ、その出来事を頑張ろうと思ったのか
- 困ったとき、何を考えたのか
- なぜ、その行動を選んだのか
- 経験から何を学んだのか
といった、あなた自身の判断や考え方です。
落ちた面接を振り返るときは、「なぜ落ちたのか」を当てようとするのではなく、次のように考えてみてください。
面接官が聞きたかったことに対して、自分は何を答えたか。
自分が伝えたかったことは、相手にも同じように伝わっていたか。
最終面接まで進むのに、内定が出ない場合
最終面接には進める。
けれど、最後で落ちてしまう。
ここまで進めているなら、ESや基本的な受け答えに、大きな問題があるとは限りません。
見直したいのは、企業を選ぶ理由と、自分の価値観とのつながりです。
次の質問に、自分の言葉で答えられるか確認してみてください。
- なぜ、この業界を選んだのか
- なぜ、同業他社ではなくこの会社なのか
- 入社後、どのような仕事に携わりたいのか
- その仕事に、自分のどの経験を生かせるのか
- 企業を選ぶうえで、何を大切にしているのか
- 内定が出たら、本当に入社したいと思っているか
「企業理念に共感したから」
「社員の人柄に魅力を感じたから」
「成長できる環境だと思ったから」
これらが間違いというわけではありません。
ただ、それだけでは、なぜあなたがその会社を選ぶのかまでは伝わりません。
たとえば、「社員の人柄に魅力を感じた」のであれば、
- 誰の、どのような言葉が印象に残ったのか
- その言葉に、自分のどのような価値観が重なったのか
- その人たちと、どのように働きたいと思ったのか
まで考えてみます。
企業の魅力を説明するだけではなく、その魅力と自分との接点を言葉にすることが大切です。
焦って「全部やる」と、かえって動けなくなる
内定がない状態で夏を迎えると、
「もっと企業を探さなければ」
「ESも全部書き直さなければ」
「面接練習もしなければ」
「自己分析もやり直した方がいいかもしれない」
と、やるべきことが次々に浮かびます。
その結果、何から手をつければよいか分からなくなり、一日が終わってしまう。
立て直すときに必要なのは、すべてを一度に変えることではありません。
今、一番止まっているところを一つだけ動かすことです。
| 今の状況 | 最初にやること |
|---|---|
| 応募先が少なく、面接予定がない | 絶対条件を整理し、候補企業を3社探す |
| ESや書類で落ちる | 提出済みのESを一枚だけ見直す |
| 一次面接で落ちる | 自己紹介・ガクチカ・志望動機を録音する |
| 最終面接で落ちる | 企業の魅力と自分の価値観の接点を書き出す |
| どこで止まっているか分からない | 選考状況を一覧にして、第三者へ相談する |
応募数を増やすことが必要な場合もあります。
ただし、同じやり方のまま数だけを増やすのではなく、止まっている原因を一つ見直してから、次の応募へ進むことが大切です。
一人で立て直そうとしなくていい
就活がうまくいっていないときほど、人に相談しにくくなります。
「こんな時期まで内定がないことを知られたくない」
「もっと早く相談すればよかったと思われそう」
「何から話せばいいのか分からない」
そう感じる人もいると思います。
けれど、一人で考え続けていると、自分の中にある前提だけで原因を探すことになります。
「ガクチカが弱いから」
「コミュニケーション力がないから」
「自分には魅力がないから」
本当の原因が別にあっても、自分を責める答えへ戻ってしまうことがあります。
相談するときは、就活全体を説明しようとしなくてかまいません。
たとえば、
書類は通りますが、一次面接で落ちています。回答内容と話し方のどちらを見直すべきか、一度見てほしいです。
応募したい企業が見つかりません。希望条件を広げるべきか、整理を手伝ってほしいです。
このように、今困っていることを一つに絞ると、相手も具体的に答えやすくなります。
大学のキャリアセンター、就職支援サービス、先輩、友人など、頼れる相手は一人でなくても大丈夫です。
今日、最初にやること
最後に、次の三つを書いてみてください。
今の私の就活は、_________で止まっている。
次に一つだけ変えるなら、_________。
そのために、_________へ相談する。
全部を立て直そうとしなくて大丈夫です。
- 応募できる企業を3社だけ探す
- 落ちたESを一枚読み返す
- 自己紹介を録音する
- キャリアセンターを予約する
- 友人に模擬面接を頼む
まずは、そのうちの一つでかまいません。
「もう間に合わないかもしれない」と考えることに使っていた時間を、今の状況を一つ変える行動に使ってみる。
夏からの就活を立て直すとは、遅れを一気に取り戻すことではありません。
自分が止まっている場所を知り、そこからもう一度動きはじめることです。